2006年10月03日

ベットの傷害事件とサンフの関係

KINDさんの日記と、サッカー蟻地獄さんのところで話題になっているベットの傷害事件に対する鬼武チェアマンの発言について、自分なりに調べてみました。

■発端
日刊スポーツのベット逮捕の記事からの引用。
Jリーグの鬼武チェアマンは「子供たちに夢と希望を与える立場のプロ選手が事件を起こしたことが悲しい。クラブの選手管理の問題。断じて許せないこと」と厳しい姿勢を示し、広島からの報告を待って処分を検討する。
鬼武チェアマンはサンフレッチェを処分すると言っているが、ベットの傷害事件に対してサンフレッチェが責任を負う必要があるのかが問題点。
つまり、サンフレッチェの監督責任が問われているわけです。

■JFAの規定
JFAの規定では次のように定めています。

JFA基本規定 第12章 懲罰
第201条〔両罰規定〕
加盟団体に所属する個人が違反行為を行った場合には、その個人に対して懲罰を科するほか、その個人が所属する加盟団体に対しても懲罰を科すことができる。ただし、その加盟団体に過失がなかったときは、この限りではない。

第229条〔違反行為〕
加盟団体または選手等が次の各号のいずれかに該当する行為を行った場合には、第197条〔懲罰の種類〕第1項各号((1)号及び(2)号を除く)および第2項各号の懲罰を科す。
(1) 本規程または本規程に付随する諸規程に違反したとき
(2) 本協会の指示命令に従わなかったとき
(3) 本協会、加盟団体または選手等の名誉または信用を毀損する行為を行ったとき
(4) 本協会または加盟団体の秩序風紀を乱したとき
(5) 刑罰法規に抵触する行為を行ったとき
(6) 加盟団体または選手等に対し、その職務に関して不正な利益を供与し、申込み、要求しまたは約束したとき
(7) 加盟団体または選手等が、方法のいかんを問わず、また直接・間接を問わず試合結果に影響を及ぼすおそれのある不正行為に関与した場合
(8) 加盟団体または選手等が、脱税その他不正な経理を行った場合

■結論
ベットの傷害事件は229条の(5)に該当し、201条との合わせ技でサンフレッチェにペナルティを課すのは何の問題もありません。
鬼武チェアマンの発言はJFAの規定にのっとっていただけでした。
ちゃんちゃん。

■以下チラシの裏
実は上の結論にいたるまでいろいろ調べてます。何よりJFAの規定を探し出せなかったのが敗因ですが。
あまりにくやしいのでチラシの裏として書かせてください。


スポーツ選手は労働組合法(労組法)上の労働者ではあるものの、労働基準法(労基法)上の労働者かは微妙とされています。
もともと、スポーツ選手は労組法上の労働者としても微妙な立場とされていたのですが、2004年のオリックス、近鉄合併騒動の際の経緯により、少なくともプロ野球選手は労組法上の労働者と解釈されるとみなされるようになりました。
過去の研究では、プロ野球の一軍の選手は給与の決定方法や用具を自分で調達するなどの点から、労基法の労働者ではないとされています。
労基法の労働者かどうかの判断の基準は使用者への専属性と経済的な依存性が高く, かつ, 事業者としての性格がないこと(あるいは弱いこと) とされています。
日本労働雑誌2005年4月号プロスポーツ選手の労働者性からの引用ですが、労基法上の労働者の認定基準は次のとおりです。

・仕事の依頼について諾否の自由があるのか
・仕事の内容とそのやり方について指揮命令を受けているのかどうか
・働く場所や時間について働く人が自由に決められるのか
・仕事に対する報酬が賃金として考えられるかどうか

話題を本題に戻しますが、「指揮命令権と監督責任」に絞った場合、問題となるのは労基法上の労働者として扱うかどうかとなります。
労基法上の労働者であれば、使用者であるクラブには指揮命令権限があることになり、監督責任が生じます。
この場合、鬼武チェアマンの発言は正しく、クラブは監督責任としてペナルティを受けても文句は言えません。

一方で、労基法上の労働者ではないとすれば、クラブには監督責任はありません。
ペナルティを不服として、サンフレッチェが民事裁判を起こした場合、勝訴できる可能性はあります。

といったところまで書いて、JFAに規定があることに気づいてしまいました。
JFAの規定に合意してサンフレッチェはJリーグに参加しているので、どうあがいても裁判で勝てません。

せっかく苦労して調べたのに…

参考:
労働法のはなし −採用から退職まで−
日本労働雑誌2005年4月号
この号はまるごとスポーツの話題なので他のトピックも一読すると面白いかもしれません。
上原・井川問題について


posted by まる at 01:46| Comment(4) | TrackBack(0) | サッカー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
TBありがとうございます。

せっかくなので、http://d.hatena.ne.jp/KIND/20061002/p3

こちらもご参照を。

>第201条[両罰規定]

>加盟団体に所属する個人が違反行為を行った場合には、その個人に対して懲罰を科すほか、その個人が所属する加盟団体に対しても懲罰を科すことができる。ただし、その加盟団体に過失がなかった場合は、その限りではない。


 クラブの責任が立証されない限り、サンフレにペナルティは与えられません。僕はそう考えています。
Posted by KIND at 2006年10月03日 01:55
すいません、参照されてましたね。早まりました。でも、要はクラブの過失があるかどうか、じゃないでしょうか。
Posted by KIND at 2006年10月03日 01:56
TB感謝。
これについては

JFAの規約には僕もたどり着いたのですが、一点だけ疑問があって取り上げませんでした。
「(5) 刑罰法規に抵触する行為を行ったとき」って言うのが、刑が確定したときなのか、訴えられたときなのか、逮捕されたときなのか、正に行ったときなのか。これがはっきりしない。

「訴えられた、処分した、無罪だった」っていうのはどうなるんだろう?

労働者の観点は感服しました。僕は選手契約が有期であるため、契約社員的な「業務委託先」と考えましたが、労働者という考え方もあるんですね。そりゃそうか^^;
Posted by 隊長 at 2006年10月03日 08:58
コメントありがとうございます。

>KINDさん

>でも、要はクラブの過失があるかどうか、じゃないでしょうか。

こちらは自分の日記で書くか迷ったのですが、KINDさんの日記にコメントとしてつけさせていただきました。
そちらを見ていただけますか。

>隊長さん

こういった規約は曖昧にできていて、解釈したい人がしたいようにしちゃうのが現実じゃないですか。

(5)を適用できなかったとしても、
>(3) 本協会、加盟団体または選手等の名誉または信用を毀損する行為を行ったとき
でOKです。
どうみてもJFAが気に入らない選手やクラブ相手への制裁項目です。本当にありが(ry
Posted by まる at 2006年10月03日 23:10
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